富山大学 和漢医薬学総合研究所

病態制御研究部門 消化管生理学分野

Division of Gastrointestinal Pathophysiology
Department of Bioscience, Institute of Natural Medicine

教授 門 脇  真

助教 山 本  武

助教 林  周 作

Counter

  「あなたのお腹の中に脳がある。」と言ったらびっくりするかもしれません。 でも、「腸は考える」(藤田恒夫著、岩波新書)、「セカンド・ブレイン‐腸にも脳がある‐」 (マイケル・ガーシュン著、小学館)などでも紹介されているように、腸は、実は「第二の脳」および 「粘膜免疫機構」を持つソフィスティケイトされた非常に賢い器官なのです。消化管生理学研究室は 国内外の多くの研究室と共同研究を進めながら、お腹の病気を治す薬の研究をしています。

“腸管とは”

  生体の生命維持・存続のために外界から栄養を吸収するという生命原則の根幹となる 組織である消化管は、 生体と外界とのインターフェイスであり、多くの外来抗原に絶えず暴露されています。そのため、体にとって 必要な栄養素だけを吸収し、病原微生物を排除し、さらに食物抗原などに対しては免疫寛容を引き起こすというような “非自己である異種抗原の排除と免疫寛容”を巧妙に操る腸管粘膜免疫系が発達しています。

  また、腸管は第三の自律神経系である腸管壁内神経系を有し、中枢からほぼ独立して 基本的な諸機能を発現することが できる唯一の器官です。それは、内在性の腸管神経系が脊髄にも匹敵する神経細胞とその発達した網目構造を持ち、知覚神経、 介在神経、運動神経などから構成される内在性の反射回路が腸管神経系内に形成され、興奮性神経と抑制性神経が調和を保ちながら 統合的に機能しているからです。

  さらに、腸管には、その粘膜上皮に腸管の情報を対応する臓器に伝達する役目を持つ 腸管内分泌細胞(センサー細胞)が 散在性に存在しています。これら神経系・免疫系・内分泌系はバラバラに機能しているのではなく、緊密なクロストークを 保ちながら統合的な「腸管イントラネット」を構成し、生体防御、恒常性維持に重要な役割をしています。従って、 消化管疾患は従来にはなかった、「腸管イントラネット」の破綻という新しい統合的観点から考える必要と考えています。

“消化管疾患”

  消化管は、機能的疾患が多く、不定愁訴が多岐にわたり疾患が特定しにくい領域で す。このような疾患に対し、 西洋医学的治療では薬理学的メカニズムの明らかな単剤を、胃、小腸または大腸など部位を特定して用いる場合が多いのです。 それに対し、和漢薬治療では、消化管全体を一つのシステムと考え、いわゆる“胃腸虚弱”という観点から、 西洋医学的発想にはない“消化管全体の機能を高める”ことにより不定愁訴を軽減するという統合的、複眼的な考え方があります。 そのためには、消化管疾患に対する十分な知識と経験が必要であり、基礎的な病態生理学的研究ももちろん不可欠です。西洋薬、 和漢薬にはそれぞれに特徴があり、相反させることなく両者の特長を活かして薬物治療にあたることによりさらに治療域を広げる ことも重要であると考えています。

  本研究室では、主に消化管免疫性疾患などをターゲットに、遺伝子改変動物などを用 いてヒトの疾患に近い優れた病態モデルの 開発を行い、病態生理学的、神経科学的、免疫学的に病因・病態を解明することにより、和漢薬を含めた新薬の創出を目指しています。


Click here to go back to Institute of Natural Medicine Home Page
和漢薬研究所ホームページに戻る