中国医学は古代中国の思想を基に発展してきた伝統医学で、病気にならないように健康な体を保つこと、すなわち「未病を治す」ことを基本理念としている。
一方で、病気の治療方法には、食事を主体とした食物療法、湯液を用いた薬物療法、鍼・灸・按摩による物理療法等がある。

この中国医学が中国文化と共に日本に伝わり、特に江戸時代に後漢の時代の医方書である『傷寒論』並びに『金匱要略』に記載されている処方に基づいた薬物療法が広まったことから、漢方と呼ばれるようになった。

両医学ともに、陰陽五行(木火土金水)の理論を基本としているが、それぞれの気候風土や人間の体質等により異なった変化をたどった。
薬物療法に用いられる生薬には、薬味薬性という概念があり、それぞれ五味(酸苦甘辛鹹)と五性(涼寒平熱温)に分けられる。

中国医学の古典としては、基礎理論に関する書物の『黄帝内経素問・霊枢』、本草書の『神農本草経』、医方書の『傷寒論』や『金匱要略』などが有名である。

 現存する最古の本草書である『神農本草経』は、漢代に著され、薬物療法に使用する365種類の生薬を、上、中、下の三品に分類して記載している(三品分類)。唐代には、中国最初の勅撰本である『新修本草』が編纂された。

これらの本草書は、先人の文章に続いて、新たな知見を記述する積み重ね方式をとり、宋代の『証類本草』へと引き継がれていった。

一方、明代に李時珍が『本草綱目』を著し、各薬物をこれまでの三品分類の形式にとらわれず、自然分類を採用してまとめあげた。
『本草綱目』は江戸時代に日本に伝わり、それ以後の日本の本草学に大きな影響を与えた。

 医方書の『傷寒論』、『金匱要略』は漢代に張仲景により著され、現在の日本の漢方医学にも大きな影響を与えている。唐代の医方書では、『外台秘要』、『千金要方』や『千金翼方』が有名である。

金・元の時代に劉完素、張従正による発汗、吐下を主体とした劉張医学と、李杲、朱震亨による強壮、滋養を主体とした李朱医学が発達する。これらが、現在の中医(中国医学)の基礎となっている。

伏見 裕利記

五行の図


 

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