漢方方剤煎液・エキスの作製法(和漢医薬学総合研究所版)


A) 漢方診断学分野で臨床使用される漢方方剤煎液(1日量)の作製法

  1. 漢方方剤を構成する全生薬の1日量を容器に入れ、水道水600mLを加えて30〜50分間加熱
  2. 加熱終了直後、濾過
  3. 最終容量を300mLとする

B) 漢方方剤エキスの作製

実験使用する漢方方剤は上記の方剤煎液作製法に基本的に準じ、下記の手順にて作製

  1. ヒトの1日量と実験に必要な量に基づいて全生薬量を決定
  2. 全生薬量の5-10倍容量の水道水(または蒸留水)と全生薬を煎じ機器に加え、とろ火で50分間加熱抽出(抽出開始時から50分間)
  3. 煎液をガーゼ(2枚重ね)で濾過
  4. ろ液を凍結乾燥(抽出回数は1回)

C) 記録しておくべき情報

  1. 各生薬の入手先とLot番号
  2. 使用生薬の原植物名と使用量
  3. 煎出方法
  4. 抽出用液(水道水、蒸留水)
  5. 煎出時間(分)
  6. 濾過法(綿栓、濾紙、ガーゼ)
  7. 凍結乾燥後のエキス回収率(収率)

注意:煎出時の水量は総生薬量によって異なるほか、煎出時間も、構成生薬の種類(例:附子や石膏などの有無)によっては調整する必要があります。さら煎じ方(直火、煎じ機器)や濾過する方法の違いは抽出効率に影響しますのでご注意下さい。不明な点は所内共同研究分担者にご相談ください。

D) 使用生薬、方剤エキスの保管、化学的プロファイリング

論文発表する場合には、研究に使用した生薬や方剤エキスの化学的プロファイリングデータ、各試料番号、保管する機関等を論文中に明記する必要があります。本拠点では、採択された研究課題で使用された生薬・方剤エキスに試料番号を付して保管管理するともに化学的プロファイリングデータは和漢薬データベースに蓄積・公開します。これらの情報は提供可能です。