2011年度 共同研究公募について


目的と概要

本拠点は関連する他の研究機関に所属する研究者との共同研究を通して、和漢医薬学研究の中核的共同研究拠点の形成を推進しています。

本拠点では、本拠点の目的において取り組まれるべき課題を以下のように設定しており、かつこれに関する共同研究を公募いたします。この共同研究では、本研究所の設備やデータベースなどを利用し、本研究所外の研究者と本研究所教員が共同で研究を行います。

研究課題
  1. 天然薬物資源の確保と保全及び和漢薬の標準化 (※)
    • 和漢薬の標準化のための基原・成分・活性融合研究
    • 和漢薬資源の多様性の解析と栽培化に関する研究
    • 和漢薬の生理活性成分に関する研究
    • 和漢薬成分を活用したケミカルバイオロジーの展開

  2. 和漢医薬学の基礎研究の推進及び西洋医薬学との融合
    • 病態モデルを用いた病態制御機構の解明と和漢薬の有効性の薬理学的検証
    • 和漢薬を基盤としたイノベイティブな治療薬の創出
    • 和漢薬の臨床応用研究
    • プロテオーム解析技術など先端技術を応用した和漢医薬学における診断・治療体系の客観化
    • 和漢薬と西洋薬との薬物間相互作用に関する研究

  3. 和漢医薬学研究の中核的情報発信拠点の形成
    • 和漢薬の遺伝子情報、成分解析情報と生物活性情報のリレーショナルデーターベース(伝統薬統合データベース)の構築
    • 和漢薬のケモ・バイオインフォマティクス
    • ETHMEDデータベースと「証類本草」等の古典及び文献データベースの拡充
    • 基礎及び臨床研究成果の多面的な統合情報の解析
    • 関連データベースの統合による和漢薬情報発信拠点の形成
※和漢薬の標準化とは?

和漢薬とは、狭義には「和薬」と「漢薬」を指します。本研究所では広義に、天然に由来する薬物である「生薬」を「和漢薬」と解釈し、生薬が配合されている「漢方薬」も和漢薬の範疇に入れています。

生薬として用いられる薬用植物、薬用動物、薬用鉱物は、元来、天然に由来し、それらの一部またはその全体が簡単に加工されているため、基原、含有成分、生理活性、 薬理作用及び薬効は常に変動する可能性があります。しかし、生薬も「薬」である以上、安定した有効性と安全性が担保されなければなりません。特に、臨床応用される漢方薬では必須です。

和漢薬の標準化とは、生薬または漢方薬の有効性・安全性を担保するために、和漢薬の品質を一定の基準内に収めることを意図しています。

募集課題の種目と概要
(A) 重点研究(2, 3件程度で複数年可)

拠点が指定する重点方剤(別表1)に的を絞った共同研究を公募します。評価、再審査の結果により、最長2年の研究期間も可とし、次の研究形態のいずれかを取るものとします。継続課題の2年度目については進捗状況、成果等について別途記載願います。なお、研究報告書の提出、共同研究期間終了時に開催される共同研究報告セミナーでの発表をお願いいたします。

  • 形態1:本研究所所属の研究者を分担者とする、重点方剤に関する共同研究(1件につき上限100万)。
  • 形態2:異なる研究機関に所属する3名以上の研究者(申請代表者、本研究所所属の研究者、及び申請代表者と異なる研究機関に所属する研究者)がチームを組んで行う、重点方剤に関する共同研究(1件につき上限300万)。
(B) 一般研究I(単年で10件程度)

本研究所が取り組んでいる研究課題(別表2)に関する、本研究所所属の研究者との共同研究を公募します(1件につき上限100万円)。なお、研究報告書の提出、共同研究期間終了時に開催される共同研究報告セミナーでの発表をお願いいたします。

(C) 一般研究II(国際的共同研究・人材育成枠、単年で2, 3件程度)

国外研究機関(本研究所が学術交流協定を締結しているもの)もしくは国内研究機関に所属する若手研究者(申請時において概ね35歳以下の研究者)を対象とした、派遣型の共同研究を公募します。本研究所への派遣期間は概ね1ヶ月から3ヶ月とし、本研究所所属の研究者と共同で伝統医薬(生薬、漢方薬を含む)に関する研究を行うものとします。実施にあたっては、若手研究者の渡航費、滞在費を支援いたします(1件につき上限50万)。なお、研究報告書提出をお願いします。

(D) 研究集会(単年で1, 2件程度)

和漢医薬学に関連する研究集会開催に係る助成を公募します。原則として旅費または報告書印刷費の一部を支援します(1件につき上限50万)。なお、研究報告書の提出をお願いします。

応募にあたっての注意

全種目共通

  • 申請代表者は大学並びに公的研究機関に所属する本研究所以外の研究者とします。その他の研究分担者等には大学院学生及び国外の研究機関等の研究者を含めることができます。
  • 共同研究期間は、2012年3月31日(土)までとします。
  • 申請者は、予め共同研究を行う予定の本研究所の教員と研究題目、研究目的、研究計画(使用エキスの作成または入手方法を含む)、来学予定期間、必要経費、要望事項等について打ち合わせのうえ、応募申請書類様式に基づいて申請して下さい。なお、本研究所の各研究分野・所属教員・研究の概要等は、本研究所ホームページを御覧下さい。

重点研究および一般研究I

  • 生薬エキス・方剤エキスを作製または入手される場合、それに係る経費は配分された研究費に含まれるものとします。
  • 生薬エキス・方剤エキスの作製にあたっては予め本研究所の研究分担者と十分に相談して決めてください。方剤エキスを作製する場合は本研究所の推奨する作製法を参照下さい。
  • 作製または入手された生薬、生薬エキス、方剤エキスの一部は、本研究所分担研究者を通して保管用および化学的プロファイリング用として本研究所に提供されますので、予め了解願います。なお、化学的プロファイリングは本研究所化学系専門職員が担当することも可能ですのでご相談ください。
  • 研究成果については、年度終了時の研究報告書提出および成果発表会での発表をお願いします。
  • 得られたデータは本研究所データベースに入力をお願いします。特許等の知的財産権が関わる可能性がありますので、データの公表可否については予め本研究所にご相談下さい。
申請方法
  1. 申請代表者が共同研究申請書(申請書様式)をPDF形式でメールにて添付申請した後、印刷したものを郵送願います(申請書ファイル名には「共同利用・共同研究申請書(氏名、所属)」を付け、郵送の際は封筒に「共同研究申請書在中」と記入のこと)。
  2. 重点研究または一般研究Iの申請においては、共同研究承諾書(様式1-3)を、申請書と合わせて郵送願います(共同研究承諾書を提出していただくことで、所属先への出張依頼は行いません)。
  3. 募集期間:2011年1月1日(土)〜 2011年2月28日(月)
採否通知

採否は富山大学和漢医薬学総合研究所共同利用・共同研究委員会の共同研究委員会において審議の上、所長より3月中旬、申請代表者へ直接通知します。

採択された場合、申請代表者及び分担者の方々に「富山大学和漢医薬学総合研究所協力研究員」を委嘱します。

共同研究経費

共同研究に必要な研究経費(消耗品費及び旅費)は、採択金額を上限として本研究所で支出します。共同研究に必要な旅費については、本学の旅費規則等に基づき算出し、精算払いとします。

共同研究機器、データベース、宿泊施設

共同研究を行うにあたり、以下の機器・施設等を使用することができます。

成果報告

申請代表者は、共同研究期間終了後(複数年にわたる場合は各年度終了後)1ヶ月以内に共同研究報告書(様式)を提出してください。

また、学術情報の共有化を図るため、重点研究または一般研究Iについては年度末に開催される共同研究報告セミナーで発表していただきます。

論文発表時の謝辞の表示

本共同研究の成果を論文として発表する場合には、「富山大学和漢医薬学総合研究所共同利用・共同研究拠点(和漢薬の科学基盤形成拠点)」による旨を明記してください。その際、別刷り1部を提出してください。

  • 和文の例:本研究は、平成23年度富山大学和漢医薬学総合研究所共同利用・共同研究拠点(和漢薬の科学基盤形成拠点)より研究助成を受けて行われた。
  • 英文の例:This research was supported by a Grant-in-Aid for the Cooperative Research Project from Joint Usage/Research Center (Joint Usage/Research Center for Science-Based Natural Medicine) Institute of Natural Medicine, University of Toyama in 2011.
知的財産権の取り扱い

本共同研究での知的財産の取り扱いについては、国立大学法人富山大学知的財産ポリシーによります。詳細は本学のホームページをご参照ください。また、知的財産権の取扱いに注意すべき共同研究成果の発表及び報告に関しましては、下記の問合せ先までご連絡ください。別途協議いたします。

申請書提出先・お問い合わせ先

国立大学法人 富山大学 研究振興部 研究協力グループ
担当:小川 千都世

〒930-0194 富山市杉谷2630
Tel:076-434-7684 (ダイヤルイン)
Fax:076-434-4656
Email: kyoten[at]inm.u-toyama.ac.jp(お問い合わせの際には[at]を@に変換してください)

各種様式
種別様式
申請書(重点研究新規、一般研究I)様式1-1 (Word, PDF)
申請書(重点研究継続)様式1-2 (Word, PDF)
申請書(一般研究II)様式2-1 (Word, PDF)
申請書(研究集会)様式3-1 (Word, PDF)
共同研究承諾書様式1-3 (Word, PDF)
報告書(重点研究および一般研究I)様式1-4 (Word, PDF)
報告書(一般研究II)様式2-2 (Word, PDF)
報告書(研究集会)様式3-2 (Word, PDF)

※ Word形式は11ptとし、枠の大きさを変えず、指定書式に入れてください。

Q & A

1. 開始時期について

Q.申請書に記載する「共同研究期間」の開始はいつからになるのでしょうか?

A.採択が確定次第、早急に始めることといたします。また場合によっては、採択の可否に拘わらず開始されているものといたします。

2. 重複申請について

Q.種目(B) 一般研究Iは同じ研究者が複数申請してもよろしいのでしょうか?

A.基本的に重点研究、一般研究IおよびIIに関しての重複は認めません。

3. 共同研究承諾書について

Q.所属機関長名、所属機関長印は、所属部局長でもよいでしょうか?

A.所属部局長名、所属部局長印でも可とします。

別表1: 重点方剤一覧

下記の40種を本共同利用・共同研究拠点で重点的に取り組むべき方剤とします。

安中散,茵陳蒿湯,越婢加朮湯,黄連解毒湯,葛根湯,加味温胆湯,加味帰脾湯,加味逍遙散,帰脾湯,桂枝湯,桂枝茯苓丸,呉茱萸湯,五苓散,柴胡加竜骨牡蠣湯,柴胡桂枝湯,三黄瀉心湯,酸棗仁湯,四君子湯,四物湯,芍薬甘草湯,十全大補湯,小柴胡湯,小青竜湯,真武湯,大建中湯,大柴胡湯,釣藤散,桃核承気湯,当帰芍薬散,人参湯,麦門冬湯,八味地黄丸,半夏厚朴湯,半夏瀉心湯,白虎加人参湯,防己黄耆湯,防風通聖散,補中益気湯,麻黄湯,麻黄附子細辛湯

別表2: 共同研究可能な研究課題一覧

資源開発部門

生薬資源科学分野

  • 薬用植物・生薬の分子系統学的、成分化学的、薬理学的多様性の解析
  • 生薬・健康食品の品質の規格化
  • 生薬の二次代謝産物のメタボロームプロファイル分析
  • 世界の伝統薬物及び薬用資源生物の調査研究

化学応用分野

  • 和漢薬を中心とする天然薬物中の生理活性分子の単離、構造解析、合成等の科学的、医薬化学的及び生物有機化学的研究
  • 漢方方剤の品質評価法の開発
  • 未解明天然薬物資源の調査、研究
  • 和漢薬の薬物相互作用

病態制御部門

複合薬物薬理学分野

  • 学習記憶障害の病態、成因、制御機構の解明と薬物(和漢薬)制御
  • エピジェネティックな精神神経性障害の発症機構解明と薬物(和漢薬)制御
  • 遺伝子発現を指標とした薬物(和漢薬・伝統薬)作用及び遺伝子機能解析

病態生化学分野

  • がん転移機構の解明と薬物制御
  • シグナル伝達分子による病態制御機構の解明と薬物制御
  • 和漢薬による免疫の賦活化に関する研究

消化管生理学分野

  • 腸管免疫疾患(炎症性腸疾患、食物アレルギーなど)の成因及び病態の解明と薬物制御(和漢薬など)
  • 腸管における神経-免疫相関の解明

臨床科学部門

臨床利用分野

  • N-3系脂肪酸が脳の高次機能へ及ぼす影響の栄養学的研究
  • リピドミック解析(脂質成分の網羅的分析)に基づく和漢薬および天然薬物の作用機序の解明

漢方診断学分野

  • 漢方医学的病態からみた漢方方剤・生薬の薬理効果の基礎的・臨床的研究
  • 病態や証を客観化するための指標を探索する基礎的・臨床的研究

機能情報解析分野

  • 気道分泌における水チャンネル(アクアポリン)の機能調節機構と伝統薬物作用に関する研究
  • ウイルス性疾患に対する感染防御薬の基礎および開発研究
  • 細胞賦活化天然薬食品のトランスレーショナルリサーチ

和漢薬製剤開発部門(寄付部門)

  • 和漢薬製剤等の開発支援に関する研究
  • 漢方医療情報に関する研究

未病解析応用研究部門(寄付部門)

  • 未病の診断と経過のマーカー、個体差マーカーの探索

民族薬物研究センター

薬効解析部

  • 中枢神経変性疾患における神経ネットワーク再構築を制御する分子機序の包括的解明
  • 伝統薬物-based創薬による、アルツハイマー病および脊髄損傷等に対する根本的治療薬の研究

民族薬物資料館

  • 鉱物性生薬の基源と品質に関する研究
  • 生薬の本草学的研究