略歴 富山大学 研究者プロファイル
出身大学・大学院
2006年3月 岡山大学理学部生物学科 卒業
2008年3月 岡山大学大学院自然科学研究科生物科学専攻 博士前期課程 修了
2011年3月 岡山大学大学院自然科学研究科バイオサイエンス専攻 博士後期課程 修了
職務経歴
2011年4月 岡山大学理学部生物学科 博士研究員
2011年8月 Buck Institute for Research on Aging Postdoctoral fellow
2016年5月 国立長寿医療研究センター組織恒常性研究プロジェクトチーム プロジェクトリーダー
2021年5月 富山大学未病研究センター 特命助教
2023年11月 富山大学和漢医薬学総合研究所 助教
研究テーマ
部門
分野
領域
プロジェクト
研究の概要
「腹八分目に医者いらず」ということわざがあるように、食餌制限(カロリー制限やアミノ酸制限、時間制限摂食など)をすると、あらゆる動物が長生きになることが知られています。また、ギリシャで生まれ「医学の祖」と称されるヒポクラテスは、「Let food be thy medicine and let thy medicine be food」という言葉を残したとされています。これは、古くから中国そして日本に伝わる「薬食同源」と同義の考え方です。栄養代謝のメカニズムは、その多くが進化的に高度に保存されており、生物が生存するためには無くてはならないシステムだと考えられます。しかし、個々の栄養素や代謝物がいつ・どこの組織で・どのくらい必要なのか・性差はあるのかについてはあまり解明されていません。この疑問を解決するため、私はキイロショウジョウバエを中心に用いて研究に取り組んでいます。特に、食餌制限がどのような分子機構で作用しているのかに関心を持って研究を行っています。以下のような研究を通して、未病と老化のメカニズム解明を目指しています。
主な研究テーマ:
・ メタボリックシンドロームの未病に関わる遺伝子の同定
・ 脂質代謝における栄養素および性差の分子機構
・ 脂肪組織におけるグルタミナーゼの役割
・ 食餌制限による腸管上皮恒常性維持機構
・ 天然化合物による寿命延伸効果とその分子機構
研究への想い
生物の寿命が遺伝学的に制御されていることが明らかになったのは、90年代初めで比較的最近のことです。そして現在では、老化は治療できる時代になってきました。この老化生物学の発展の陰には、酵母、線虫、ショウジョウバエといった無脊椎動物を用いた研究の功績があります。私自身は、昆虫飼育を通して子供ながらに感じていた生物の生き死に関する不思議さ、繁殖成功の喜びが今に繋がっていると感じています。これからも無脊椎動物モデルの強みを活かしながら、老化制御における生物共通のメカニズムは何なのかについて研究を進めていきたいと考えています。
論文
Akagi K.*, Koizumi K., Kadowaki M., Kitajima I., and Saito S. New possibilities for evaluating the development of cellular senescence using the dynamical network biomarkers theory. Cells, 12(18): 2297, 2023 (*Corresponding author)
Sharma A.†*, Akagi K.†*, Pattavina B, Wilson K.A., Nelson C., Watson M., Maksoud E., Harata A., Ortega M., Brem R.B., Kapahi P.* Musashi expression in intestinal stem cells attenuates radiation-induced decline in intestinal permeability and survival in Drosophila. Scientific Reports, 10:19080, 2020 (†Co-first author, *Co-corresponding author)
Akagi K.*, Wilson K.A., Katewa S.D., Ortega M., Simons J., Hilsabeck T.A., Kapuria S., Sharma A., Jasper H., Kapahi P.* Dietary restriction improves intestinal cellular fitness to enhance gut barrier function and lifespan in D. melanogaster. PLOS Genetics, 14(11): e1007777, 2018 (*Co-corresponding author)
Akagi K., Sarhan M., Sultan A., Nishida H., Nakayama T., Koie A, Ueda H. A biological timer in the fat body comprising Blimp-1, βFtz-f1 and Shade regulates pupation timing in Drosophila melanogaster. Development, 143, 2410-2416, 2016
Katewa S.D., Akagi K., Rakshit K., Bose N., Camarella T., Zheng X., Nelson C., Brem R., Sehgal A., Giebultowicz J.M., Kapahi P. Peripheral circadian clocks modulate nutrient dependent changes in lifespan and fat metabolism. Cell Metabolism, 12;23(1):143-154, 2016
キーワード
老化、未病、食餌制限、ショウジョウバエ